転職の平均回数は何回?年代別データと「多い」と判断される基準
「転職を何回もしてきたけど、これって多すぎる?」「採用担当者にどう見られるんだろう」——転職回数が増えるたびに、そんな不安がよぎる方は少なくありません。
転職が一般的になった現代でも、採用の場では「転職回数」が一定の判断材料として使われていることは事実です。ただし、「何回が多いか」の基準は年代によって異なり、また業種や転職の理由によっても大きく変わります。「平均より多い=不利」という単純な話でもありません。
この記事では、厚生労働省の調査データをもとに年代別・男女別の転職回数の実態を整理したうえで、採用担当者の本音と、他の記事では取り上げられていない「転職回数と年収の関係」まで解説します。
- 年代別・男女別の転職回数の平均データ
- 「何回から多すぎる」と判断される基準と採用担当者の本音
- 転職回数が増えている社会的背景(なぜ今は転職回数が増えているのか)
- 転職回数×年収変化の相関(多く転職した人は年収が下がるのか?)
- 「自分の転職回数は問題か」を判断するセルフチェックリスト
年代別・男女別で見る転職回数の実態データ
結論:転職回数の「多い・少ない」は年代によって基準が大きく変わります。同じ3回でも、20代と40代では意味合いがまったく異なります。
年代別の転職回数の平均
厚生労働省「令和2年転職者実態調査」などのデータをもとにした年代別の転職回数の分布は、おおむね以下の通りです。
| 年代 | 転職回数の傾向 | 注目点 |
|---|---|---|
| 20代前半 | 1回以内が7割 | 「初めての転職」が多数 |
| 20代後半 | 1〜2回が中心 | 3回以上も26%程度存在 |
| 30代前半 | 2〜3回が中心 | 2回・3回がほぼ同率 |
| 30代後半 | 3回前後が中心 | 「4〜5回」層も増加 |
| 40代前半 | 「6回以上」が最多(25%超) | 長いキャリア分散型 |
| 50代以上 | 「6回以上」が最も多い区分 | 業種・雇用形態の変化も含む |
20代での3回以上の転職は、採用担当者から「キャリアの一貫性がない」と見られやすい傾向がある一方、40代での3〜4回は「業界内でのキャリアアップを重ねてきた」と評価されるケースが多くなります。転職回数は絶対的な数ではなく、年代との相対値で判断されます。
男女別の傾向
同調査によると、男女で転職回数のピークが異なります。
- 男性:「1回」が最も多い(32.7%) ——転職経験者の中では、1度の転職で長期定着するパターンが目立ちます。
- 女性:「3回」が最も多い(20.9%) ——出産・育児・引越しなどのライフイベントによる転職が重なりやすいため、平均的に男性より回数が多くなる傾向があります。また「6回以上」も16.1%存在します。
女性の転職回数が男性より多くなりがちなのは、本人のキャリア志向というより「ライフイベントに伴う不可抗力」が大きな要因です。この点は採用担当者も理解していることが多く、転職理由を丁寧に説明することで印象を左右できます。
採用担当者の本音:「何回から多すぎる」のか
結論:採用担当者の約77%が転職回数を評価材料にしています。ただし「回数だけで落とす」わけではなく、転職の「理由とパターン」が問われています。
採用担当者が気にする「転職回数の基準」
マイナビ「中途採用状況調査2025年版」によれば、採用担当者の77.6%が「転職回数は採用の判断材料になる」と回答しています。では、具体的に何回から懸念を感じるかというと:
- 20代の求職者に対して「3回以上で採用を躊躇する」という採用担当者:66.4%
- 30代では「5回以上」で懸念が強まる傾向
- 40代以上では転職回数よりキャリアの内容・実績が優先される
ただし重要なのは、同じ「3回」でも評価が真逆になることがあるという点です。
懸念される3回: 不満が出るたびに短期離職を繰り返している、転職の理由が毎回「人間関係が嫌だった」「なんとなく合わなかった」という受け身パターン
評価される3回: 営業→マーケティング→事業開発のように、意図的にキャリアを積み上げてきたことが明確に説明できるパターン
採用担当者が本当に見ているのは「回数」ではなく、**「その転職に一貫したキャリアの意図があるか」**です。
「転職回数の数え方」で迷う人へ
転職回数をどう数えるかで混乱している方も多いです。一般的な数え方は以下の通りです。
| ケース | 転職回数への算入 |
|---|---|
| 正社員として入社→退社 | ✅ 算入する |
| 契約社員・派遣社員から別会社 | ✅ 原則算入 |
| 同一グループ内での異動・出向 | ❌ 算入しない |
| アルバイト・パートのみの期間 | 状況による(職歴に書く場合は算入) |
| 育休・産休明けの同一企業復帰 | ❌ 算入しない |
| フリーランス期間 | 職歴に書く場合は「独立」として記載 |
履歴書・職務経歴書に記載する際は、短期のアルバイトや業務委託は通常省略可能です。ただし、空白期間が生じる場合は正直に説明できる準備が必要です。
なぜ転職回数は増えているのか——時代背景を知ると「不安」が消える
競合の記事の多くは「転職回数が多い=不利」という論調で終わっていますが、そもそもなぜ日本人の転職回数は増えているのかを理解すると、自分の状況を客観的に捉えやすくなります。
終身雇用の崩壊と「キャリア自律」への移行
2019年、経団連の中西宏明会長(当時)が「終身雇用を続けることは難しい」と発言したことが話題になりました。その後、大手企業でも希望退職者の募集や早期退職制度が相次ぎ、「一社で定年まで」という雇用モデルは現実的でなくなっています。
転職回数が増えている背景には、「会社に居続けることが難しくなった」という側面もあります。自分の意志で転職を重ねてきた場合だけでなく、リストラや経営方針の変化に伴って転職を余儀なくされたケースも少なくありません。
ジョブ型雇用への移行
日本企業では従来、「メンバーシップ型雇用(会社が人を雇う)」が主流でしたが、近年は「ジョブ型雇用(スキルや職務に基づいて採用する)」への移行が進んでいます。ジョブ型の世界では、複数の会社でスキルを積み上げることがむしろ評価されます。
国際比較で見ると「日本は転職少なすぎ」
日本の平均転職回数は約2回程度ですが、米国では平均11.7回(Bureau of Labor Statistics)という調査データがあります。欧米では「複数の会社で多様な経験を積む」ことが当然と見なされており、転職回数の多さ自体がネガティブに評価されることはほぼありません。
日本でも、採用担当者の意識はこの方向に徐々に変化してきています。転職回数が多いこと自体よりも、「各経験から何を得たか」を説明できるかどうかが、今後ますます重要になっていきます。
転職回数と年収の関係——多く転職した人の収入はどうなるのか
競合記事では取り上げられていない視点:転職回数が増えるほど年収は下がるのでしょうか。データは意外な事実を示しています。
転職2回以上で「年収が上がった」人の割合
厚生労働省の転職者実態調査では、転職者のうち「転職後に賃金が増加した」と回答した人の割合が一定数存在します。転職回数が2回以上の人でも、半数以上が「賃金が維持または上昇した」と報告しているケースがあり、「転職を重ねると年収が下がり続ける」という単純な相関は成立しません。
年収への影響を左右するのは、主に以下の2つです。
① 同業種・同職種での転職か、異業種・異職種への転職か
同じ職種・スキルを持ったまま転職するケース(例:営業職→営業職)では、実績とスキルがそのまま評価されやすく、年収交渉でも有利になります。一方、まったく異なる職種への転職は「未経験者扱い」になりやすく、年収が一時的に下がるリスクがあります。
② 転職の「タイミング」と「市場の需要」
転職市場での需要が高い時期・職種であれば、回数にかかわらず年収アップの可能性は高まります。逆に、不景気や採用氷河期での転職は条件が厳しくなります。
**結論として:転職回数が年収に直接悪影響を与えるわけではありません。年収を左右するのは「転職先の業種・職種の需要」と「自分のスキルの市場価値」です。**ただし、転職のたびに職種を変えてスキルが分散すると、専門性が薄くなり年収が頭打ちになりやすいというリスクはあります。
「自分の転職回数は問題か」——セルフチェックリスト
競合記事にはない、自分の転職回数が採用の場で問題になるかどうかを自己判断するチェックリストです。
以下の項目にいくつ当てはまるかで、現状のリスクを把握してください。
⚠️ リスクが高い可能性がある項目
- 在籍期間が1年未満の転職が2回以上ある
- 転職のたびに「人間関係が嫌だった」「なんとなく合わなかった」が理由
- 転職のたびに業種・職種が大きく変わっており、一貫したキャリアが説明しにくい
- 年収が転職のたびに下がり続けている
- 「転職理由を聞かれると答えに詰まる」という自覚がある
- 20代で転職回数が4回以上、または30代前半で5回以上
✅ リスクが低い・むしろ強みになる可能性がある項目
- 各転職ごとに「スキルアップ」「キャリアチェンジ」「待遇改善」など具体的な理由がある
- 在籍期間が平均2年以上ある
- 転職のたびに年収が維持または上昇している
- 職種または業種に一貫したテーマがある(「ずっとBtoB営業をやってきた」等)
- 転職理由を聞かれたとき、前職の批判なしにポジティブな言葉で説明できる
- 採用担当者に「そういう転職の経緯なら納得できる」と言われたことがある
判定の目安:
- ⚠️ 項目が3つ以上:書類選考や面接での転職回数の説明に、今から対策が必要
- ⚠️ 項目が1〜2つ:特定の弱点を補強するアピールを準備しておく
- ✅ 項目が多数:転職回数は武器になる可能性が高い
転職回数が多くても選考を通過するための具体策
自己チェックで「リスクが高い」と感じた場合でも、準備次第で印象を変えることができます。
①「転職の軸」を言語化する
面接で最も効果的なのは、「各転職にどんな軸(こだわり)があったか」を一貫して説明できることです。転職回数が多い人ほど、この説明が散漫になりがちです。
まず自分の転職歴を書き出し、「なぜそこに転職したのか」「何を得たのか」「なぜ次に移ったのか」を3行ずつ書いてみてください。その中に共通するテーマ(例:「常に成長できる環境を求めてきた」「BtoBの法人営業にこだわってきた」)が見えてきます。
②「短期離職」の理由は事実で正直に話す
1年未満の離職が複数ある場合、隠すよりも正直に話した方が印象が良くなるケースが多いです。「会社の経営方針が変わり、自分の担当業務が消えた」「親の介護が必要になった」「倒産した」等の事情は、採用担当者も十分に理解できます。
理由が「人間関係」の場合でも、「上司のパワハラが深刻だったが、当時は転職が最善の判断だった」と具体的な状況説明を加えると説得力が増します。
③ 職務経歴書は「成果・スキル」で読ませる構成にする
転職回数が多い人の職務経歴書は、会社名の羅列になりやすく「また転職してきた人だな」という印象を与えます。改善策は、「スキル・実績先行型」の構成に変えることです。
冒頭に「私はこれができます(スキルサマリー)」と実績を先に提示し、その後に「どの会社でそのスキルを身につけたか」を補足する流れにすると、転職回数よりも「この人は何ができるか」に読み手の注目が集まります。
④ 応募先を「転職回数を評価しやすい会社」に絞る
転職回数が多い人が採用されやすいのは、以下のような企業です。
- スタートアップ・ベンチャー企業(多様な経験を歓迎する傾向)
- 外資系企業(ジョブ型雇用文化のため転職回数を気にしない)
- 転職率が高い業界(IT・コンサル・飲食・介護等)
逆に、転職回数が厳しく見られやすいのは、大手日系企業・金融機関・公的機関・製造業などです。
まとめ
- 転職回数の平均は年代によって異なり、40代では「6回以上」が最も多い区分になっている。
- 採用担当者の約77%が転職回数を評価材料にしているが、判断基準は「回数」ではなく「転職の理由とパターン」。
- 女性の転職回数が多くなりやすいのは、ライフイベントによる不可抗力が大きな原因であり、理由を丁寧に説明することで印象は変えられる。
- 転職回数が多いこと自体は年収を下げるわけではなく、スキルの一貫性と市場価値が年収を左右する。
- 自己チェックリストで「転職理由を説明できるか」「一貫したキャリアテーマがあるか」を確認し、弱点を補強してから応募に臨む。
- 終身雇用崩壊・ジョブ型移行という時代の流れの中で、転職回数への偏見は緩和の方向にあるが、説明責任は依然として求職者側にある。
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白川凌雅
新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、中堅・ベンチャーの組織人事コンサルに従事。 その後、KPMGコンサルティング、他Big4にて上場企業の役員報酬策定や人材開発、PMOをリードし、年間最優秀プロジェクト賞を受賞。