事務に転職するには?未経験・経験者別の進め方と採用される人の特徴
「事務職に転職したい」と考えたとき、まず気になるのが「自分に向いているか」「未経験でも採用されるか」という点ではないでしょうか。事務職は安定した働き方を求める人に人気が高い職種である一方、応募者が多く「思ったより難しい」と感じる人も少なくありません。
ただし、正しい準備と戦略があれば、未経験でも十分に転職を実現できる職種です。事務職の中にも「採用されやすい種類」と「競争が激しい種類」があり、自分に合った方向性を選ぶことが成功のカギになります。
この記事では、以下のことがわかります。
- 事務職への転職が「難しい」と言われる本当の理由
- 未経験でも採用される事務の種類と条件
- 事務転職で差をつけるスキル・資格
- 職種別(一般事務・営業事務・医療事務など)の選び方
- 面接でよく聞かれる質問と答え方のコツ
事務職の転職市場はどうなっている?
事務職の求人倍率は低い——それが「難しい」の正体
事務職への転職が「難しい」と言われる主な理由は、求人数に対して応募者が圧倒的に多いことにあります。一般事務職の有効求人倍率は0.3〜0.4倍程度で推移することが多く、これは「1つの求人に対して2〜3人が応募している」状態を意味します。製造業や営業職の有効求人倍率が1倍を超えることと比較すると、事務職の競争の激しさが際立ちます。
ただし、この「難しさ」は事務職の中でも偏りがあります。一般事務は特に競争が激しい一方、専門性を持つ事務職(営業事務・経理事務・医療事務など)は採用のハードルが下がる傾向があります。
事務職が人気な理由と転職者が増えている背景
事務職に転職希望者が集まる理由は主に以下の点にあります。
| 理由 | 背景 |
|---|---|
| 安定性が高い | 内勤・正社員・土日休みが多い |
| 体力的な負担が少ない | 体を酷使する仕事からの転換を希望する人が多い |
| スキルを活かしやすい | PCスキルや事務経験が横展開しやすい |
| ライフステージに合わせやすい | 育児・介護との両立を求める人に向いている |
特に30代・40代で体力的な転換を考える人や、子育てとの両立を求める女性に根強い人気があります。
採用されやすい「穴場」の事務がある
一口に「事務職」といっても、採用しやすさには大きな差があります。競争が激しいのは主に「一般事務」ですが、以下の事務は比較的採用されやすい傾向があります。
- 営業事務: 営業職経験者が優遇されるため、営業経験者は強みを活かせる
- 医療事務: 専用資格の取得で未経験可の求人が多い
- 経理補助: 簿記資格があると差別化できる
- 貿易事務: 英語スキルがあれば競合が大幅に減る
- IT・テック系事務: DXが進む企業でのバックオフィス需要が増えている
事務職転職で求められる基本スキルと資格
必須レベルのPCスキル——「できます」では通じない
事務職の採用面接で最も確認されるのがPCスキルです。「Excelが使える」という表現では不十分で、具体的に何ができるかを言語化できることが重要です。
採用担当者が「使えると安心」と感じるExcelスキルの目安:
| レベル | 具体的なスキル |
|---|---|
| 基本(最低ライン) | データ入力・並び替え・フィルター・SUM/AVERAGE関数 |
| 中級(有利) | VLOOKUP・IF関数・ピボットテーブル・グラフ作成 |
| 上級(差別化) | マクロ・VBA・大量データ集計・業務自動化 |
WordとPowerPointは「作れる・編集できる」レベルが求められます。また、業種によってはアクセスや業務専用システムへの適応力も評価の対象になります。
タイピング速度も見落とされがちなスキルです。事務職では大量のデータ入力が発生することもあるため、分速200字以上を目安にしておくと安心です。
事務職に有効な資格3選
資格は必須ではありませんが、未経験者が書類選考で差をつけるために有効です。
1. MOS(Microsoft Office Specialist) ExcelやWordのスキルを客観的に証明できる資格です。「Excelが使える」と自己申告するより、「MOS Excel取得」と記載する方が採用担当者の信頼度が上がります。スペシャリストレベル(旧2013)は独学でも1〜2ヶ月で取得可能です。
2. 日商簿記3級 経理補助・総務事務への転職で有効です。3級は独学でも2〜3ヶ月で取得でき、簿記の基礎知識を証明できます。経理事務を本格的に目指すなら2級まで取得すると選択肢が大幅に広がります。
3. 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) 医療事務に特化した資格で、診療報酬請求に関する知識を持つことを証明できます。病院・クリニックへの転職を目指す場合、取得しておくと採用担当者への説得力が増します。
未経験から事務職に転職するための準備
「事務未経験」をカバーする3つのアピール軸
未経験から事務職に転職する際、多くの人が「アピールするものがない」と悩みます。しかし、事務職が求めているのは事務経験だけではありません。
採用担当者が未経験者に期待するのは以下の3点です。
① 正確性・丁寧さ 事務職の最大の価値は「ミスなく処理できること」です。前職での正確な作業、数字を扱った経験、コツコツ取り組む姿勢は、事務未経験でも有効なアピール材料になります。
「前職では月次の売上集計をExcelで管理しており、3年間で転記ミスゼロを維持しました」
② コミュニケーション力・調整力 営業事務では社内外との調整業務が多く、対人スキルが求められます。接客・営業・窓口対応などの経験は「対人スキル」として積極的にアピールできます。
③ 継続して取り組む姿勢 事務職は繁忙期に単調作業が続くこともあります。「継続力」「粘り強さ」を示すエピソードは、「この人は続けてくれる」という安心感につながります。
転職前に準備しておくべきこと(目安期間)
転職活動開始前に最低限の準備をしておくことで、書類選考通過率が大きく変わります。
| 準備項目 | 目安期間 | 優先度 |
|---|---|---|
| ExcelのVLOOKUP・ピボット習得 | 1〜2週間 | ★★★ |
| タイピング速度向上(分速200字以上) | 2〜4週間 | ★★★ |
| MOS Excel取得 | 1〜2ヶ月 | ★★☆ |
| 日商簿記3級取得 | 2〜3ヶ月 | ★★☆ |
スキルアップと並行して転職活動を始めることも可能です。「取得見込み(〇月予定)」として履歴書に記載する方法もあります。
事務職の種類と自分に合った選び方
主要な事務職5種類の特徴と向いている人
一口に「事務」といっても業務内容は大きく異なります。自分の強みと照らし合わせて選ぶことが転職成功の鍵です。
一般事務
- 業務: データ入力・書類作成・電話対応・来客対応・ファイリングなど
- 向いている人: 幅広く丁寧に仕事をこなしたい人
- 採用難易度: 高い(競争率が最も高い)
- ポイント: 「何でもやります」では弱い。「特定の業務で貢献できる具体例」が必要
営業事務
- 業務: 受発注処理・見積書作成・営業担当サポート・顧客対応
- 向いている人: 営業経験者・気配りができる人・コミュニケーションが得意な人
- 採用難易度: 中(営業経験者は有利)
- ポイント: 「営業をサポートした経験」「顧客対応経験」が強みになる
経理事務・経理補助
- 業務: 伝票入力・請求書処理・帳簿管理・月次決算補助
- 向いている人: 数字が得意・几帳面・簿記資格を持っている人
- 採用難易度: 中(簿記3級以上で差がつく)
- ポイント: 簿記資格があると選択肢と待遇が大幅に改善する
医療事務
- 業務: 受付・診療報酬請求(レセプト)作成・カルテ管理
- 向いている人: 医療業界に関心がある人・細かい作業が得意な人
- 採用難易度: 低〜中(資格取得で未経験可の求人が多い)
- ポイント: 専用資格の取得が転職への最短ルート
貿易事務・外資系事務
- 業務: 輸出入書類作成・通関手続きサポート・英語での事務作業
- 向いている人: 英語が得意・国際業務に興味がある人
- 採用難易度: 低(英語スキルがあれば競合が大幅に減る)
- ポイント: TOEIC700点以上で有利、850点以上で大きく差別化できる
事務職の選び方——自己診断チェックリスト
以下の質問で、自分に合った事務の方向性を確認しましょう。
- 数字・計算が得意、または苦にならない → 経理事務
- 人のサポートが好き、または営業経験がある → 営業事務
- 英語が使える、または好き → 貿易・外資系事務
- 医療・介護の現場で働きたい → 医療事務
- 特にこだわりなく、まず事務職に就きたい → 一般事務(ただし準備が重要)
事務職の面接対策——よく聞かれる質問と答え方
事務職面接の頻出質問5選と模範回答
Q1:「なぜ事務職に転職しようと思ったのですか?」
最もよく聞かれる質問です。「安定しているから」「楽そうだから」は絶対NGです。
「前職の営業職で日常的にデータ集計や書類作成を担当しており、正確な処理とスピーディな対応がチームの効率に直結することを実感しました。その経験から、自分の強みを活かして組織を支える事務職として専門的に取り組みたいと考え、転職を決意しました。」
Q2:「PCスキルについて教えてください」
具体的なスキルと活用経験をセットで答えます。
「ExcelはVLOOKUPやピボットテーブルを日常的に使っており、前職では月次レポートの自動作成フォームを作成した経験があります。WordとPowerPointも資料作成に活用しており、MOS Excelを取得しています。」
Q3:「事務職の経験がないのになぜ応募したのですか?(未経験の場合)」
前職の経験との接続と、不足スキルへの準備を示します。
「前職の接客・窓口業務で正確な書類処理と顧客対応を経験しており、事務職に近い業務を行ってきました。また、転職に向けてExcelのスキルアップとMOS取得を進めており、早期に貢献できると考えています。」
Q4:「単調な作業が続いても大丈夫ですか?」
「大丈夫です」で終わらず、裏付けるエピソードを添えます。
「前職でも月次の大量データ入力を一人で担当しており、正確さを保ちながら継続できるタイプだと自己認識しています。コツコツとした作業は自分に向いていると感じています。」
Q5:「どんな事務職を目指していますか?」
入社後のキャリアビジョンを具体的に語れると好印象です。
「まずは業務フローをしっかり覚え、ミスなく正確に処理できるようになることを最初の目標にしています。慣れてきたら業務効率化の提案もできるような、会社に欠かせない存在になりたいと考えています。」
事務職面接で差がつく「逆質問」の例
面接の最後の逆質問で、事務職らしい視点を示せると好印象を残せます。
- 「現在使用されている主な業務システムやツールを教えていただけますか?入社までに準備したいと思っています。」
- 「事務職の方はどのような形で他部門と連携されていますか?」
- 「業務の中で特に正確さやスピードが求められる場面はどのような場面ですか?」
逆質問全般のコツについては、転職面接の逆質問おすすめ10選も参考にしてください。
事務職転職でよくある質問(FAQ)
Q:事務職は35歳以上だと難しいですか?
A:難しいですが、不可能ではありません。 35歳以上の場合、「即戦力」として評価される経験やスキルが求められます。特定の事務領域(経理・貿易・営業事務など)への専門性や、これまでのキャリアとの接続を明確に伝えることが重要です。「事務に絞らず、事務的な要素を含む幅広い職種も検討する」という視野の広さも持っておくとよいでしょう。
Q:事務職の転職活動はどのくらいの期間がかかりますか?
A:平均3〜6ヶ月です。 競争率が高いため、他の職種より長めになる傾向があります。スキルや資格の準備期間を含めると、早めに動き出すことが成功のポイントです。転職活動の平均期間については転職活動にかかる期間の記事も参考にしてください。
Q:事務職は正社員での採用が難しいですか?
A:派遣・契約社員からスタートするケースも多いです。 特に未経験の場合、まず派遣や契約社員として実績を積み、正社員登用を目指す道筋もあります。「紹介予定派遣」は正社員を前提とした派遣形態で、未経験から正社員を目指す方法として活用されています。
Q:事務職の志望動機は何を書けばいいですか?
A:「前職の経験との接続」+「事務職への具体的な貢献イメージ」の組み合わせが効果的です。 未経験からの転職であれば、なぜ今のタイミングで事務職に転換したいのかを論理的に説明することが重要です。未経験転職の志望動機の書き方は未経験転職の志望動機の記事も参考にしてください。
Q:履歴書・職務経歴書で気をつけることはありますか?
A:「事務に活かせるスキル・経験」を前面に出すことが重要です。 職務経歴書では、データ入力・書類作成・電話対応・ツール操作などの経験を具体的に記載します。職務経歴書の書き方については職務経歴書の書き方完全ガイドを参考にしてください。
まとめ:事務職転職で成功するためのポイント
事務職への転職は「難しい」という評判がありますが、適切な準備と戦略で十分に実現できます。
- 一般事務は競争率が高い。営業事務・経理事務・医療事務など特化型を狙うと採用されやすい
- PCスキル(特にExcel)は「できる」ではなく「何ができるか」を具体的に示す
- MOS・簿記3級などの資格は、未経験者が書類選考で差をつける有効な手段
- 前職の経験(正確性・調整力・継続力)は「事務的素養」として積極的にアピールする
- 面接では「安定志向」ではなく「貢献イメージ」を前面に出す
- 事務職の転職活動は平均3〜6ヶ月。早めの準備が成功のカギ
どの事務職が自分に向いているかが見えてきたら、次は面接対策を本格化させましょう。転職面接でよく聞かれる質問については転職面接の頻出質問と答え方の記事も参考にしてください。
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白川凌雅
新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、中堅・ベンチャーの組織人事コンサルに従事。 その後、KPMGコンサルティング、他Big4にて上場企業の役員報酬策定や人材開発、PMOをリードし、年間最優秀プロジェクト賞を受賞。