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コラム

既卒の転職は不利?新卒との違いと既卒から正社員を目指す方法

✍️ 白川凌雅

「既卒だから転職は無理かもしれない」と感じているあなた、その不安は多くの既卒者が抱えるものです。学校を卒業したものの就職先が決まらなかった、内定を辞退してしまった、フリーターとして過ごしてきた——そんな経緯を持つ人が「今から正社員になれるのか」と悩むのは自然なことです。

結論から言えば、既卒でも正社員になることは十分に可能です。ただし、新卒・第二新卒とは異なるアプローチが必要であり、空白期間の長さや職歴の有無によって取るべき戦略も変わってきます。「既卒は不利」という言葉だけを信じて諦めてしまうのは非常にもったいないことです。

この記事でわかること:

  • 「既卒」「第二新卒」「フリーター」の違いと転職市場での扱われ方
  • 既卒が不利と言われる理由と実際のところ
  • 既卒から正社員になれる人・なりにくい人の違い
  • 既卒に向いている職種・業界と狙い目求人
  • 空白期間の長さ(3ヶ月・6ヶ月・1年以上)別の転職戦略
  • 面接で空白期間を正直に説明するための方法

①既卒とは?定義と転職市場での扱われ方(新卒・第二新卒との違い)

既卒とは、学校を卒業してから一度も正社員として就職したことがない人を指します。企業によって定義が異なる場合もありますが、一般的には「卒業後3年以内の未就業者」を既卒と呼ぶことが多いです。この定義を正確に理解することが、正しい転職活動の第一歩になります。

「既卒」「第二新卒」「フリーター」の違いを整理

混同されやすい3つの言葉を明確に区別しましょう。

区分 定義 転職市場での強み
既卒 卒業後、正社員未経験(アルバイト経験はある場合も) ポテンシャル採用の対象になりやすい
第二新卒 卒業後3年以内に一度就職したが、短期で退職した人 社会人経験あり・若手として評価される
フリーター 卒業後アルバイトのみで生活してきた人(年齢は問わず) 志望職種次第では即戦力になれる経験も

第二新卒は「一度でも正社員として就職した経験がある」点が既卒との最大の違いです。第二新卒は短期とはいえ社会人経験があるため、企業からの評価はやや高くなります。一方の既卒は社会人経験がない分、ポテンシャルや熱意を前面に出す就活スタイルになります。

フリーターとの違いは、アルバイト歴の有無よりも「正社員を目指して就活しているかどうか」の意識面にあります。実際には既卒=フリーターという状況も多いですが、自己紹介の際には「アルバイトをしながら就活を続けてきた」という姿勢を明確に示すことが大切です。

企業が「既卒可」の求人を出す背景

近年、多くの企業が「既卒・第二新卒歓迎」「卒業後3年以内は新卒扱い」という求人を出すようになっています。これは少子化による若手労働力の不足が大きな理由です。厚生労働省の指針でも「卒業後3年以内の既卒者を新卒枠で受け入れるよう」企業に求めており、大手企業を中心に既卒の受け入れが広がっています。

つまり、既卒であることを過度に悲観する必要はありません。問題は「既卒であること」ではなく、「なぜ卒業後に就職しなかったのか」を明確に説明できるかどうかです。

転職市場での既卒の扱われ方

転職市場において既卒は、新卒と中途の中間のような位置づけです。新卒採用枠に応募できる場合もあれば、中途採用枠の「未経験者歓迎」求人に応募することもあります。一般的には卒業後の期間が短いほど新卒扱いに近く、期間が長くなるほど「経験のない中途」として見られる傾向があります。


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②既卒が転職で不利と言われる理由と実際のところ

「既卒は転職で不利」と言われる背景には、企業が感じるリスクがあります。ただし、そのリスクを正しく理解することで、対策を立てることができます。

企業が既卒に感じる懸念点

企業が既卒の候補者に抱きやすい疑問は主に3つです。

  1. なぜ就職できなかったのか(または就職しなかったのか):社会人として問題があるのではないかという疑念
  2. 空白期間に何をしていたのか:怠惰に過ごしてきたのではないかという懸念
  3. 採用してすぐ辞めないか:新卒採用より選考コストを抑えたいという本音

この3つの懸念を払拭できれば、既卒であることはそれほど大きなハンデにはなりません。

実際のところ:「不利」は絶対ではない

厚生労働省の調査(2022年度版)によると、既卒者の正社員転換率は60%前後で推移しています。つまり、行動した既卒者の過半数は正社員になれているということです。また、リクルートワークス研究所の調査では、企業の約7割が「既卒者を採用した経験がある」と回答しています。

「既卒だから絶対にダメ」ということは一切ありません。正しい戦略で動けば、十分に正社員を目指せる環境にあります。

既卒に不利が出やすい場面

一方で、正直に不利になりやすい状況もあります。

  • 大手企業・公務員の新卒一括採用枠への応募
  • 応募書類だけで既卒者をスクリーニングする旧態依然とした企業
  • 競合が多い人気職種(マスコミ・金融・商社など)
  • 空白期間が3年を超えている場合

逆に言えば、中小企業や成長企業、人手不足の業界では既卒はそれほどネックになりません。自分が狙うべき市場を見極めることが重要です。


③既卒から正社員になれる人・難しい人の違い(チェックリスト)

既卒から正社員になれる人となりにくい人には、明確な違いがあります。以下のチェックリストで自分の現状を確認してみましょう。

正社員になれる人の特徴

以下の項目が多く当てはまる人は、既卒からの就職成功確率が高いと言えます。

  • 空白期間の理由を明確かつ誠実に説明できる
  • 空白期間中に何らかの活動(資格取得・アルバイト・ボランティア等)をしていた
  • 志望する業界・職種が明確で、その理由も言語化できている
  • 書類選考・面接に対して真摯に準備できている
  • 転職エージェントや就職支援サービスを活用している
  • 未経験歓迎の求人を中心に応募先を選んでいる
  • 「入社後に頑張りたい」という前向きな姿勢が伝えられる

難しくなる人の特徴

以下の項目が多い場合は、戦略の見直しが必要です。

  • 空白期間の理由をうまく説明できない(「何となく」「だらだらしていた」等)
  • アルバイト経験もほとんどなく、社会との接点が薄い
  • 卒業から5年以上が経過している
  • 応募先を絞りすぎて大手・人気職種だけ狙っている
  • 書類や面接の準備をせずに流している

難しい状況にある人でも、準備の仕方次第で状況は変えられます。特に「空白期間の説明」を練り上げることは、最も費用対効果の高い準備です。

空白期間の長さ別の状況把握

空白期間3ヶ月以内:新卒との差はほとんどありません。多くの企業で新卒枠での応募が可能です。就職活動の継続として自然に説明できます。

空白期間3〜6ヶ月:「就活を続けていた」「方向性を見直していた」という説明が効果的です。アルバイトなどの活動実績があれば加点要素になります。第二新卒・既卒歓迎求人を中心に動きましょう。

空白期間6ヶ月〜1年:少し丁寧な説明が必要になりますが、スキルや活動実績があれば問題ありません。「何をして過ごしたか」の具体的なエピソードが鍵です。

空白期間1年以上:戦略的な求人選びが重要です。未経験歓迎の求人、人手不足の業界、中小企業を中心に動くのが得策です。就職支援サービスの活用を強くお勧めします。


④既卒向け狙い目職種・業界(未経験OK求人が多い分野)

既卒の転職活動では、未経験者でも採用されやすい職種・業界を優先的に狙うことが合理的な戦略です。

未経験歓迎求人が多い職種

営業職(特に法人営業・ルート営業):コミュニケーション力とやる気があれば採用されやすい職種です。基本的なビジネスマナーと熱意があれば、既卒でも積極的に採用する企業が多数あります。未経験からでも1〜2年で年収400万円以上を目指せるケースも珍しくありません。

IT・エンジニア系(未経験歓迎):プログラミングスクール出身者や独学でスキルを習得した既卒者に門戸を開いている企業が増えています。インフラエンジニア・テスター・ITサポートなどのポジションは特に入りやすい傾向があります。入社後の研修制度が整っている会社を選ぶのがポイントです。

事務・バックオフィス系:一般事務・データ入力・経理補助などは、未経験でも採用されやすい職種です。MOS(Microsoft Office Specialist)などの資格があると書類選考通過率が上がります。

介護・福祉系:人手不足が慢性的な業界であり、既卒・未経験者でも採用されやすい環境です。資格取得支援制度を持つ事業所が多く、働きながら介護福祉士などの資格を取得できます。

製造業・工場系:体力・手先の器用さがあれば採用されやすく、既卒の就職ルートとして一定の需要があります。日勤のみの求人や土日休みの求人も多数あります。

狙い目業界の特徴

既卒に優しい業界の共通点は「人手不足」「研修制度の充実」「ポテンシャル採用文化」の3つです。具体的には以下の業界が挙げられます。

  • 介護・医療系(慢性的な人手不足)
  • 建設・不動産(若手育成に積極的な企業が多い)
  • IT・Web系ベンチャー(実力主義でポテンシャル重視)
  • 小売・サービス業(大量採用が多く間口が広い)
  • 物流・運送業(ドライバー不足が深刻)

⑤既卒の転職活動の進め方(スケジュール・使うべきサービス)

既卒の転職活動は、一般の転職活動と少し異なるアプローチが効果的です。以下のスケジュールと使うべきサービスを参考にしてください。

転職活動の全体スケジュール(目安:2〜4ヶ月)

1〜2週目:自己分析・方向性の確定

  • 空白期間の経緯を整理し、説明できるようにする
  • 自分の強み・スキル・資格を棚卸しする
  • 志望職種・業界を2〜3つに絞る

3〜4週目:求人収集・応募開始

  • 既卒・未経験歓迎の求人に絞って探す
  • 履歴書・職務経歴書(職歴がない場合は自己PR書)を作成する
  • 複数の求人に同時応募する(最低10社を目安)

5〜8週目:選考対応

  • 書類選考の結果を受けながら面接対策を並行して行う
  • 面接後は振り返りを行い、回答を改善する
  • 内定が出たら比較検討して意思決定する

目標:2〜4ヶ月で内定が既卒の転職活動の現実的な目安です。焦りすぎず、かといって先延ばしにもせず、計画的に進めることが大切です。

使うべきサービス

ハローワーク:既卒・未経験者向けの求人が多数あり、就職支援も受けられます。「わかものハローワーク」「ヤングハローワーク」は35歳以下の若者向けの専門窓口です。担当者によるカウンセリングや書類添削も無料で受けられます。

転職エージェント:既卒・第二新卒に特化したエージェントを活用するのが効果的です。書類の書き方から面接対策まで一貫してサポートしてくれるため、一人で活動するより内定率が上がります。複数のエージェントに登録して、紹介求人の幅を広げましょう。

就職支援サービス(就職エージェント):既卒・フリーター向けの就職支援サービスは、求人紹介から面接同行まで無料でサポートしてくれるものが多く、初めての正社員就活をサポートするために設計されています。

求人サイト:Indeed・リクナビNEXT・マイナビ転職などに「未経験歓迎」「既卒歓迎」の条件で検索すると、多数の求人が見つかります。並行して使うと効果的です。


⑥面接で「空白期間」を正直に説明する方法

面接で最も重要な準備のひとつが、空白期間の説明です。「なぜ卒業後に就職しなかったのか」という質問には、正直かつポジティブに答えることが鍵です。

空白期間の説明における3つの原則

原則1:嘘をつかない 空白期間について嘘をつくと、後から矛盾が生じたり、入社後のトラブルにつながる可能性があります。「何もしていなかった」としても、それを正直に認めつつ「今は本気で就職したいと思っている」という意思を伝える方が信頼されます。

原則2:現在の前向きな姿勢を強調する 過去の説明は最小限にとどめ、「今後どうしたいか」を中心に話す構成にしましょう。採用担当者が聞きたいのは「過去の詳細」ではなく「自社で活躍できる人材かどうか」です。

原則3:具体的な活動実績を添える アルバイト・資格取得・ボランティア・スキル習得など、空白期間中に何らかの活動をしていたなら、それを具体的に述べましょう。たとえ小さな活動でも、「何かをしていた」という事実は重要です。

空白期間別・回答例

空白期間3〜6ヶ月の場合 「卒業後、改めて自分のキャリアの方向性を見直す時間を取りました。その間、アルバイトで接客の経験を積みながら、志望業界について自己分析を深めていました。その結果、営業職で自分の強みを活かしたいという結論に至り、今回の応募に至りました。」

空白期間6ヶ月〜1年の場合 「卒業後、当初は就職活動を続けていましたが、体調を崩した時期があり、回復に時間がかかってしまいました(医療機関への相談も経て、現在は問題なく活動できています)。回復してからはITの基礎を独学で勉強し、簿記2級の資格も取得しました。今は万全の状態で仕事に取り組める自信があります。」

空白期間1年以上の場合 「卒業後、家族の事情でしばらく就職活動ができない時期がありました。その後は状況が落ち着き、アルバイトで社会経験を積みながら、本当にやりたい仕事を真剣に考えてきました。その結果、御社のような○○を扱う企業で働きたいという気持ちが固まり、今回応募させていただきました。」

絶対に言ってはいけないこと

  • 「特に理由はありません」(無責任に聞こえる)
  • 「やりたいことが見つからなかっただけです」(他責・消極的に見える)
  • 「就活が嫌になりました」(企業側の不安を高める)

空白期間の説明は事前に何度も練習し、自分の言葉で自然に話せるようにしておきましょう。


⑦FAQ

Q. 既卒でも大企業に就職できますか? A. 大企業への就職は難しい部分がありますが、不可能ではありません。大手企業の中にも「既卒・第二新卒歓迎」の求人を出しているところがあります。ただし倍率は高く、書類・面接の準備を十分に行う必要があります。まずは中堅・中小企業で実績を積んでからキャリアアップを目指す戦略も有効です。

Q. 既卒は何歳まで就職できますか? A. 一般的には「卒業後3年以内」が既卒として比較的有利な時期です。それを過ぎると「経験のない中途」として見られることが増えます。ただし年齢よりも「なぜ正社員になりたいのか」「どう貢献できるか」を伝えられるかが重要で、30歳前後でも既卒から正社員になった事例は多数あります。

Q. 職歴がなくても履歴書は書けますか? A. 書けます。職務経歴書の代わりに「自己PR書」を作成し、アルバイト経験・資格・学業での実績・部活・サークルでの活動などをアピールしましょう。「社会人経験がない分、入社後に積極的に吸収したい」という姿勢を前面に出すことが効果的です。

Q. 転職エージェントは既卒でも使えますか? A. 使えます。むしろ既卒者こそ積極的に活用すべきです。既卒・第二新卒に特化したエージェントも多くあり、書類の作り方から面接対策まで無料でサポートしてくれます。一人で活動するよりも内定率が高くなることが多いです。

Q. 空白期間中に何もしていなかった場合はどう説明すればいいですか? A. 正直に「方向性を考え直していた時期があった」と伝えつつ、「今はしっかりと意思決定ができている」という現在の状況を強調しましょう。過去を飾るより、「今の本気度」を伝える方が採用担当者の心を動かします。これから何か活動を始めてから就活する選択肢もあります。

Q. 既卒歓迎の求人はどこで探せますか? A. ハローワーク・リクナビNEXT・マイナビ転職・Indeedなどで「既卒歓迎」「未経験歓迎」のキーワードで検索できます。また転職エージェントに相談すると、非公開の既卒向け求人を紹介してもらえることもあります。ミカミなど地域密着型のエージェントも活用してみてください。


まとめ

  • 既卒とは「卒業後に一度も正社員として就職していない人」を指し、第二新卒・フリーターとは明確に異なる
  • 「既卒は不利」と言われるが、転職市場での既卒の受け入れは年々広がっており、正しい戦略で動けば正社員就職は十分に可能
  • 空白期間の長さ(3ヶ月・6ヶ月・1年以上)によって取るべき戦略は異なる——期間が長いほど求人の選び方と説明の準備がより重要になる
  • 既卒に向いている職種は営業・IT未経験枠・介護・製造業など、人手不足・ポテンシャル採用文化の職種や業界
  • 面接での空白期間の説明は「正直に+前向きに+今の本気度を強調」の3原則で準備する
  • 転職エージェントや就職支援サービスを活用することで、一人での活動より内定率が大幅に上がる

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この記事の監修・執筆

白川凌雅

新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、中堅・ベンチャーの組織人事コンサルに従事。 その後、KPMGコンサルティング、他Big4にて上場企業の役員報酬策定や人材開発、PMOをリードし、年間最優秀プロジェクト賞を受賞。

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