総務職への転職は未経験でも可能?仕事内容・必要スキル・求人の探し方
「総務に転職したいけど、未経験では無理だろうか」——そう感じて、転職活動の一歩を踏み出せないでいる方は少なくありません。「総務は経験者しか採らない」「専門知識がないと入れない」というイメージが先行しており、未経験者にとって総務職は最初から諦めてしまいやすい職種です。
しかし実態を調べてみると、総務職への未経験転職は「まったく不可能」ではありません。中小企業や急成長中のベンチャー企業、管理部門の整備が途上の会社では、未経験者を採用して社内で育てるニーズが常にあります。問題は「どんな人なら未経験でも採用されるのか」「どうやって求人を見つけるのか」を知らないことです。
この記事でわかること:
- 総務職の仕事内容と転職市場のリアルな需給
- 未経験から総務に転職できる人・難しい人の具体的な違い
- 総務転職に必要なスキル・資格・経験の優先順位
- 総務の求人の種類と失敗しない選び方
- 「総務志望理由」の面接での効果的な伝え方
総務職の仕事内容と転職市場の実態
総務職が担う業務範囲の広さ
総務職は「会社の管理業務全般を担う」職種として知られていますが、その業務範囲は非常に幅広く、企業規模や業種によって大きく異なります。一般的な総務業務の内容は以下のとおりです。
主要業務カテゴリ
| カテゴリ | 具体的な業務 |
|---|---|
| 施設・設備管理 | オフィスの維持管理、備品調達、業者対応 |
| 文書・契約管理 | 社内文書の管理、契約書の保管・締結補助 |
| 社内イベント運営 | 社員総会、慶弔対応、社内行事の企画・運営 |
| 安全衛生管理 | 衛生委員会の運営、健康管理施策のサポート |
| 庶務・秘書対応 | 来客対応、郵便物処理、役員のスケジュール補助 |
| IT・システム管理 | 社内PCの管理、ITベンダー対応(小規模企業の場合) |
総務は「何でも屋」と呼ばれることもあり、その業務範囲はルーティン業務から突発的な問題対応まで多岐にわたります。企業によっては人事・経理・法務的な業務まで総務が担うケースもあります。
転職市場における総務職の需給バランス
総務職の転職市場には「求人数は多いが、競争率も高い」という特徴があります。安定した就業環境・残業が比較的少ない・オフィス勤務という条件から応募者が集まりやすい一方、即戦力を求める企業が多いため未経験者のハードルが上がっています。
しかし市場全体を細かく見ると、「未経験可」の総務求人は常に一定数存在します。特に以下のような企業では未経験者を積極的に採用する傾向があります。
- 中小企業(従業員50〜300人程度):総務担当者が1〜2人体制で、退職による欠員補充が多い
- 急成長中のベンチャー・スタートアップ:管理部門を一から整備する段階で、型にはまらない人材を求める
- 管理部門の分離・新設を行う企業:これまで経営者や兼任担当者が行っていた業務を専任化するタイミング
こうした企業では「総務の経験がある人より、前向きに業務を吸収できる人」を求めているため、未経験者にも十分なチャンスがあります。
総務職の平均年収と年収レンジ
総務職の平均年収は一般的に280〜400万円程度(正社員・全年齢平均)です。経験やスキル、企業規模によって以下のようなレンジが見られます。
- 未経験入社・20代:240〜300万円
- 経験3〜5年・30代:300〜380万円
- 経験5年以上・管理職含む:380〜500万円以上
特に大手企業・上場企業の総務では、一般職でも年収400万円を超えるケースがあります。一方、中小企業では年収が抑えられる傾向があるため、年収アップを狙う場合は企業規模を意識した求人選びが重要です。
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未経験から総務に転職できる人・難しい人の違い
未経験でも採用されやすい人の特徴
総務は専門職と思われがちですが、未経験者を採用する際に企業が重視するのは「汎用的なスキルと業務への適性」です。以下の特徴を持つ人は未経験でも採用されやすい傾向があります。
採用されやすい人のプロフィール例
- 前職で事務・秘書・営業事務などの経験がある(PCスキル・コミュニケーション力が評価される)
- 几帳面・丁寧・組織化が得意という性質がある
- 複数の業務を同時並行で進めるマルチタスクが苦にならない
- 「縁の下の力持ち」として組織を支えることにやりがいを感じる
- 一般常識・社会人マナーがしっかりしている
未経験では難しいケースの特徴
逆に、未経験での総務転職が難しくなるケースは以下のとおりです。
- 「なんとなく楽そう」という理由での志望:面接で志望動機が浅いと見抜かれる
- Excel・Word・メール対応ができない:総務業務の基本ツールが使えないと即戦力になれない
- コミュニケーションが苦手:社内外の調整役として多くの人と関わる仕事のため、対人スキルは必須
- 大手企業・有名企業の総務を最初から狙う:大手は経験者採用が中心。未経験なら中小・ベンチャーから始めるのが現実的
- 転職理由が「前職が辛かったから」だけ:ネガティブな理由だけでは、採用後も「また辞める」と懸念される
未経験転職者が持つべき「橋渡しスキル」
前職のスキルを総務に「橋渡し」できるかどうかが、未経験転職の鍵になります。
| 前職の経験 | 総務で活きるスキル |
|---|---|
| 営業事務 | 書類作成・顧客対応・スケジュール管理 |
| 接客・サービス業 | コミュニケーション力・来客対応・ホスピタリティ |
| 教育・保育 | イベント企画・調整力・安全衛生への感覚 |
| 経理補助 | 数字の正確性・文書管理・会計ソフト操作 |
| 医療事務 | 正確な書類処理・機密情報管理・規則遵守意識 |
前職の経験を「総務業務に活かせる形」で語れれば、未経験でも選考を有利に進められます。
総務転職に必要なスキル・資格・経験
必須スキル(資格より重要)
総務転職において最も重視されるのは、資格よりも「実務で使えるスキルと仕事への姿勢」です。採用担当者が未経験者を評価する際、以下のスキルを持っているかを確認しています。
PCスキル(基本は必須)
- Word:文書作成・議事録作成ができるレベル
- Excel:関数(VLOOKUP・SUMIFなど)が使えるレベルが望ましい
- メール・スケジューラー:Outlookまたは同等のツールの基本操作
コミュニケーション・調整スキル
- 社内外の多様な関係者と円滑に連絡・調整できる
- 依頼を受けたら適切なタイミングで報告・相談ができる
- 不明点があれば自分から確認に行く積極性がある
業務管理スキル
- 複数の業務を並行して進められる
- 優先順位を判断して行動できる
- 締め切りを守り、漏れなく業務を完了できる
持っていると評価される資格
総務転職において必須の資格はほとんどありませんが、以下の資格は「業務への意欲・基礎知識」の証明として評価されます。
- ビジネス実務法務検定3級〜2級:契約書・コンプライアンス管理に関する基礎知識の証明
- 社会保険労務士(社労士):人事・総務を兼務する場合に特に評価が高い(難易度は高め)
- 日商簿記3級〜2級:経理業務を兼務する総務担当者として評価される
- MOS(Microsoft Office Specialist):PCスキルの客観的な証明として有効
- 衛生管理者(第一種・第二種):健康管理・安全衛生管理業務を担う場合に必要な国家資格
特に衛生管理者は、従業員50人以上の職場では法律上1名以上の選任が義務付けられており、取得していると採用時に大きな強みになります。未経験者がこの資格を持っていれば、即戦力として評価される場合があります。
経験がない場合の「経験の作り方」
転職前に少しでも総務に関連する経験を積んでおくと、選考で差がつきます。
- 社内の総務補助・庶務業務を自ら引き受ける:今の職場で備品管理や来客対応を担当する機会があれば積極的に志願する
- 副業・ボランティアでのイベント運営や組織管理の経験:NPOや地域活動での運営経験も「段取り力」のアピールに使える
- 簿記・法務の独学・通信講座:資格取得過程での学習も「総務への本気度」として評価される
総務の求人の種類と選び方
総務求人の主要な種類
総務の求人は大きく以下のカテゴリに分類されます。それぞれの特徴と未経験者に向いているかを整理します。
1. 欠員補充型(即戦力求め) 退職者の後任として即戦力を求める求人。業務が確立されており「同じ業務をすぐできる人」が前提のため、未経験者には難しいことが多い。
2. 増員・拡大型(成長企業) 事業拡大に伴い管理部門を強化する求人。まだ業務の型が固まっていないケースが多く、「一緒に作っていける人」を求める傾向があり未経験者にも門戸が開きやすい。
3. 管理部門の新設型(ゼロイチ) これまで経営者や他部門が兼任していた管理業務を専任化する求人。やりがいが大きい分、業務の幅が広く負荷も高め。能動的に動ける人が求められる。
4. 派遣・契約からのステップアップ まずは派遣・契約社員として総務業務に就き、正社員登用を目指すルート。未経験での総務転職を実現する最も現実的なルートの一つ。
未経験者が避けるべき求人の特徴
- 「経験者のみ歓迎」と明記されている
- 大手企業・上場企業で倍率が高い
- 給与レンジの幅が狭い(採用ターゲットが限定されている可能性)
- 求人票に業務内容が「一般事務・庶務全般」としか書かれておらず詳細不明
未経験者が狙うべき求人の特徴
- 「第二新卒歓迎」「未経験可」の記載がある
- 従業員50〜200人規模の中小企業
- 「総務・人事兼任」または「何でもやれる人」という記載(未経験の幅広い学びを前提にしている)
- 「急成長中の会社で管理体制を整える」というような表現がある
求人の探し方と転職エージェントの活用
総務職の求人は、求人サイト・転職エージェントの両方を活用して探すことが効率的です。
- 転職サイト(リクナビNEXT・doda等):求人数が多く、未経験可フィルターで絞り込みやすい
- 転職エージェント:非公開求人の紹介・書類添削・面接対策のサポートが受けられる
- ハローワーク:中小企業の総務求人が多く、未経験可の求人も多い
特に転職エージェントは「未経験者が採用されやすい非公開求人」を保有しているケースがあるため、積極的に活用することをお勧めします。
面接対策(総務志望理由の伝え方)
「なぜ総務か」を説得力を持って伝える
総務志望者の面接で最も問われるのは「なぜ総務を選んだのか」という動機の部分です。特に未経験での転職の場合、「なんとなく事務系の仕事がしたい」「残業が少なそうだから」という動機は即座に不合格につながります。
説得力のある志望動機のポイント:
前職での体験から総務業務への関心が生まれたことを語る
「前職の営業事務で社内の備品管理や庶務業務を補助する場面があり、縁の下で組織を支える仕事に自分が最も力を発揮できると感じました。」
総務という職種の具体的な魅力を語る(「楽そう」以外で)
「社内の全部門と関わりながら会社の基盤を支える役割に、長期的に腰を据えて取り組みたいと思っています。」
応募先企業の総務が持つ特徴や課題に触れる
「御社は急成長段階にあり、管理部門の整備が必要なフェーズと拝見しました。その立ち上げに携わることで自分も成長できると考えています。」
未経験であることをポジティブに転換する語り方
未経験であることを「デメリット」として先に謝るのではなく、「だからこそ御社のやり方をゼロから吸収できる」と前向きな強みとして語ることが重要です。
NGな語り方
「総務の経験はありませんが、精一杯頑張ります。」
OKな語り方
「総務業務は今後身につけていくところですが、前職での○○という経験が御社の△△業務に直接活かせると考えています。また未経験だからこそ、先輩から素直に学びながら御社のスタイルを柔軟に吸収できると思っています。」
よくある面接質問と回答例
Q. 総務の仕事で一番大変なことは何だと思いますか?
「マルチタスク対応だと考えています。定常業務をこなしながら緊急対応も求められる点は、前職の○○でも同様の経験をしており、優先順位を判断しながら対応してきた経験を活かせると考えています。」
Q. 苦手な作業はありますか?
「細かい数字の管理作業は以前は得意ではありませんでしたが、前職で経費精算の集計業務を担当してから、正確さへの意識が高まりました。今は数字の仕事も前向きに取り組めます。」
FAQ:総務転職のよくある質問
Q. 総務への転職は本当に未経験では難しいですか?
A. 「まったく不可能」ではありません。中小企業やベンチャー企業、管理部門の新設段階の企業では未経験者を積極的に採用しています。ただし「なぜ総務か」という志望動機の説得力、PCスキルなどの基礎、コミュニケーション力が求められます。この3点を準備できれば、未経験でも選考を通過できる可能性は十分あります。
Q. 総務職は年収が低いと聞きますが本当ですか?
A. 一般的に総務職の年収は営業職より低めに設定されている企業が多いです。未経験入社の20代では240〜300万円程度が多く、経験を積むと300〜400万円程度になります。大手企業や上場企業では年収水準が上がりますが、未経験での入社は難しくなります。年収を重視する場合は、将来的な昇給制度・等級制度も確認した上で求人を選ぶことが重要です。
Q. 総務経験者と未経験者の選考での差はどのくらいありますか?
A. 企業によって差は大きいですが、経験者が優先されるケースが多いのは事実です。ただし、採用担当者が「この人なら長く働いてくれる」と感じた未経験者は経験者より選ばれることがあります。転職の動機・人柄・ポテンシャルが評価の柱になるため、面接対策を徹底することで差を埋めることが可能です。
Q. 総務から他職種への転職は難しいですか?
A. 総務経験者のキャリアパスとしては、人事・経理・法務・採用コンサルタントへの転換が多く見られます。幅広い業務経験を持つ総務出身者は、管理部門全般のポジションへの転換がしやすいです。ただし高度な専門職(弁護士・公認会計士等)へのキャリアチェンジには別途資格取得が必要になります。
Q. 総務職に向いている人の特徴を教えてください
A. 総務職に向いている人の特徴として次の5点が挙げられます。①細かい業務を丁寧に正確にこなせる、②組織全体を俯瞰して動ける、③突発的な問題にも冷静に対応できる、④「誰かの役に立てた」ことにやりがいを感じられる、⑤コミュニケーションが得意で社内外と円滑な関係を築ける。「縁の下の力持ち」タイプの人が長く活躍できる職種です。
まとめ
- 「総務は未経験お断り」というイメージは正確ではなく、中小・ベンチャー企業では未経験採用が常に行われている
- 未経験でも採用されるのは「PCスキル・コミュニケーション力・マルチタスク対応力」を持ち、総務への明確な志望動機がある人
- 必須資格はないが、衛生管理者・ビジネス実務法務検定・MOS等の取得は採用時の差別化になる
- 未経験者が狙うべき求人は「増員型・管理部門新設型・中小企業」であり、大手への直接転換は難しい
- 面接では「なぜ総務か」という動機を前職体験と結びつけて語り、未経験を「吸収力の強み」として転換することが重要
- 総務は長期的なキャリア形成がしやすく、人事・経理など管理部門全般へのステップアップが可能
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この記事の監修・執筆
白川凌雅
新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、中堅・ベンチャーの組織人事コンサルに従事。 その後、KPMGコンサルティング、他Big4にて上場企業の役員報酬策定や人材開発、PMOをリードし、年間最優秀プロジェクト賞を受賞。
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