転職すると退職金はどうなる?もらえる条件と転職前に確認すること
転職を考えるとき、「退職金はもらえるのか」「いくらもらえるのか」は多くの人が気になるポイントです。特に長く勤めた会社を辞める場合、退職金の有無は転職の決断に大きく影響します。
結論から言えば、退職金がもらえるかどうかは、勤務先の規定(就業規則・退職金規程)と勤続年数次第です。すべての会社に退職金制度があるわけではなく、制度があっても条件次第でもらえる額が大きく変わります。
この記事でわかること:
- 退職金制度がある会社・ない会社の違い
- 転職(自己都合退職)でもらえる退職金の条件
- 勤続年数と退職金の関係
- 転職前に会社に確認すべきこと
- 退職金を受け取るベストなタイミング
退職金制度の基本:あるとは限らない
退職金制度は法律で義務付けられていない
まず大前提として、退職金制度は法律で定められた義務ではありません。会社が就業規則や退職金規程として定めていれば支払われますが、制度がなければ一切もらえません。
厚生労働省の調査によると、退職金制度がある企業は全体の約70〜75%程度とされており、特に中小企業では制度がない会社も少なくありません。
まず自分の会社に退職金制度があるかどうかを、就業規則や社内規程で確認することが出発点です。わからない場合は人事部門に問い合わせましょう。
退職金の種類:一時金・年金・企業型DC
退職金の受け取り方にはいくつかの種類があります。
退職一時金 退職時に一括で受け取る最も一般的な形式。会社が積み立てた資金から支払われます。
退職年金(確定給付企業年金) 退職後に月々年金として受け取る形式。終身・有期どちらもあります。
企業型確定拠出年金(企業型DC) 会社が毎月掛け金を積み立て、運用成績によって受け取り額が変わる制度。転職した場合は「ポータビリティ制度」を利用して次の会社や個人型DC(iDeCo)に移管できます。
転職(自己都合退職)でもらえる退職金の条件
「自己都合退職」は支給額が減ることが多い
退職金の計算では、退職理由によって支給率が変わるのが一般的です。会社都合退職(リストラなど)と比べ、自己都合退職(転職)では支給率が低く設定されていることがほとんどです。
例えば、勤続10年で自己都合退職した場合に会社都合退職の80%の額になるなど、規程によってルールが異なります。
最低勤続年数の条件
多くの会社では、退職金を受け取るために必要な最低勤続年数が設けられています。一般的な目安は3〜5年です。勤続3年未満で退職すると、退職金がゼロという企業も珍しくありません。
| 勤続年数 | 退職金の傾向 |
|---|---|
| 1〜2年 | 多くの場合ゼロまたはごく少額 |
| 3〜5年 | 制度の最低基準に達する会社が多い |
| 10年 | 一定額が見込める。自己都合でも数十〜百万円規模 |
| 20年以上 | 大きな額になる場合も。転職タイミングの検討が重要 |
勤続年数の節目を意識する
退職金規程には「勤続〇年以上」という節目が設けられているケースが多いです。例えば「勤続5年以上から支給」という規程の場合、4年11ヶ月で辞めるとゼロになります。
退職のタイミングを数ヶ月調整するだけで、退職金がゼロか数十万円かという差が生まれることもあります。辞める前に、次の勤続年数の節目がいつかを確認することは非常に重要です。
転職前に確認すべきこと
就業規則・退職金規程を読む
退職金に関するルールは就業規則または別途定められた退職金規程に記載されています。入社時に受け取った書類を確認するか、会社のイントラネット・人事部門で閲覧を依頼しましょう。
確認すべきポイント:
- 退職金制度の有無
- 支給対象となる最低勤続年数
- 自己都合退職の場合の支給率
- 計算方法(基本給×勤続年数×係数 など)
企業型DCがある場合の手続きを確認する
企業型確定拠出年金(企業型DC)が導入されている場合、退職後に「移管手続き」が必要です。転職先でも企業型DCがある場合は転職先の制度に移管、ない場合は個人型DC(iDeCo)に移管することが一般的です。
移管の手続きは退職後6ヶ月以内に行わないと、自動的に現金化されて特定機関に移管される「自動移換」という状態になる可能性があります。忘れずに手続きしましょう。
退職金は在職中に確認してよい
退職する意思を上司に伝える前に、退職金の額を確認したいと思う人も多いでしょう。退職金の確認は人事部門への問い合わせで可能ですが、「退職検討中では?」と思われることを懸念するなら、就業規則を自分で確認する方法がスムーズです。
退職金を受け取るベストなタイミング
節目の勤続年数を超えてから辞める
前述のとおり、退職金規程には節目の勤続年数が設けられていることが多いです。退職を検討している場合、次の節目(例:勤続5年・10年)を超えてから退職を申し出るだけで、受け取れる額が大きく変わる可能性があります。
転職先の入社日を調整する余裕をもたせる
退職金を最大化するためにあと数ヶ月在籍したい場合、転職先の入社日の調整が必要です。転職先への入社日交渉については転職先が決まってから退職するときの伝え方を参考にしてください。
一般的に、内定後1〜2ヶ月での入社を求められることが多いですが、事情を正直に伝えることで3ヶ月程度の調整に応じてくれる企業も少なくありません。
転職先の退職金制度も確認しておく
入社前に退職金制度を確認する
転職先での退職金制度の有無は、将来の資産形成に関わる重要な情報です。求人票や採用担当者への確認で、以下を調べておきましょう:
- 退職金制度があるか
- 一時金型か確定拠出年金(DC)型か
- 最低支給の勤続年数はいくつか
特に中小企業やスタートアップでは退職金制度がない場合も多く、「前の会社にはあったのに」という驚きにつながることがあります。
退職金がない会社ではどう資産形成するか
退職金制度がない会社に転職する場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAなどで自分自身で老後に向けた資産形成をすることが重要になります。転職先の福利厚生を確認するときに、退職金とセットでこれらの制度も確認しておきましょう。
転職先の条件全体の確認については、転職でキャリアアップを成功させる秘訣も参考にしてください。
よくある疑問【FAQ】
懲戒解雇になると退職金はもらえない?
懲戒解雇の場合は、就業規則に「退職金の全部または一部を不支給にできる」という規程が設けられているケースが多く、退職金が支払われないことがあります。ただし、懲戒解雇の理由が軽微であったり、会社の規程に不当な点がある場合は争う余地があります。
退職金は一括でしか受け取れない?
一時金型の制度であれば一括受け取りが基本ですが、確定給付企業年金(DB型)では年金型や一時金型を選択できる場合があります。受け取り方によって課税方法も変わります。受け取り方の選択については税理士等の専門家に相談することをおすすめします。
転職回数が多いと退職金への影響は?
転職回数そのものが退職金額に影響するのではなく、各職場での勤続年数が影響します。5社に転職していても、それぞれの会社で退職金規程の支給条件を満たしていれば、それぞれから受け取ることができます。ただし、各社での勤続年数が短くなりがちな点が、退職金総額を下げる要因になります。
まとめ
- 退職金制度は法律上の義務ではなく、会社によって有無・内容が異なる
- 自己都合退職(転職)では支給率が減るケースが多い
- 退職金には最低勤続年数の条件がある(多くは3〜5年)
- 節目の勤続年数を超えてから退職すると受け取れる額が大きく変わることがある
- 企業型DC(確定拠出年金)がある場合は退職後の移管手続きを忘れずに
- 転職先の退職金制度も事前に確認しておくことが大切
退職金は「転職を決めてから考える」ではなく、「転職の検討段階から確認しておく」ことで、タイミングの損失を防げます。現在の会社の規程を一度確認してみましょう。
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白川凌雅
新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、中堅・ベンチャーの組織人事コンサルに従事。 その後、KPMGコンサルティング、他Big4にて上場企業の役員報酬策定や人材開発、PMOをリードし、年間最優秀プロジェクト賞を受賞。