転職前に知っておきたい退職金の基本|もらえる条件・転職への影響
転職を検討しているとき、「退職金はどうなるのか」「今辞めたらもったいないのでは」と気になる方は多いでしょう。退職金の有無・金額は、転職タイミングを決める際の重要な要素の一つです。
一方で、「退職金があるから辞められない」という考え方が転職の踏み出しを遅らせているケースも見られます。退職金について正しく理解した上で、冷静にキャリアの判断ができるようにしましょう。
この記事では以下のポイントを解説します。
- 退職金はどんな条件でもらえるのか
- 退職金の金額の目安と計算の仕組み
- 転職タイミングと退職金の関係
- 退職金がない・少ない会社への転職の考え方
- 転職先の退職金制度の確認方法
退職金はもらえる条件と「もらえないケース」
退職金の支給は会社の任意
退職金(退職給付)は、法律で企業に支給が義務付けられているものではありません。支給するかどうか・いくら支給するかは、会社ごとの就業規則や退職金規程によって決まります。
そのため、以下のケースでは退職金が支給されないことがあります。
- 退職金制度がない会社(特にベンチャー・中小企業に多い)
- 勤続年数が規定の最低年数に達していない(例:3年未満は支給なし)
- 自己都合退職では支給額が減額される規定がある
- 試用期間中の退職は対象外
自己都合退職と会社都合退職の違い
転職(自己都合退職)の場合、会社都合退職(リストラなど)より退職金が少なくなることが一般的です。就業規則に「自己都合退職の場合は○%支給」と規定されているケースがほとんどです。
目安として:
- 自己都合退職:会社都合退職の50〜80%程度の支給となるケースが多い
- 短い勤続年数(3〜5年未満):支給割合がさらに低くなることがある
転職を検討している場合は、現職の就業規則(退職金規程)を事前に確認しておくことをおすすめします。
退職金の金額の目安
勤続年数別の退職金相場(目安)
退職金の金額は会社・業種・勤続年数によって大きく異なりますが、大卒・正社員での自己都合退職の場合の一般的な目安は以下の通りです。
| 勤続年数 | 退職金の目安(大企業) | 退職金の目安(中小企業) |
|---|---|---|
| 3年 | 50〜100万円 | 20〜50万円 |
| 5年 | 100〜200万円 | 50〜100万円 |
| 10年 | 300〜600万円 | 100〜250万円 |
| 20年 | 700〜1,200万円 | 300〜600万円 |
| 30年(定年前後) | 1,500〜2,500万円 | 700〜1,200万円 |
※これはあくまで目安であり、企業規模・業種・退職金制度の種類によって大きく異なります。
退職金制度の主な種類
退職金制度には以下の種類があり、会社によって異なります。
| 制度の種類 | 概要 |
|---|---|
| 退職一時金制度 | 退職時に一括で支給される最も一般的な制度 |
| 企業年金(DB型) | 退職後に年金として分割で受け取る制度 |
| 確定拠出年金(DC/iDeCo) | 掛け金を自分で運用し、退職後に受け取る制度 |
| 中小企業退職金共済 | 中小企業が多く加入する国の共済制度 |
特に確定拠出年金(DC)は、転職先に同制度があれば「持ち運びが可能」なため、転職後も資産が引き継がれます。
転職タイミングと退職金の関係
「もう少し勤めれば大きく変わる」タイミングがある
退職金の計算では、勤続年数が一定の閾値を超えると支給額が大幅に変わることがあります。
例えば「勤続3年未満は支給なし→3年以上で支給開始」「勤続10年で支給率が1.5倍に上がる」といった設計の会社では、転職タイミングをその直後にすることで受け取れる金額が変わります。
自分の勤続年数が退職金の「節目」に近い場合は、就業規則を確認してタイミングを検討する価値があります。
「退職金のために転職を先延ばしにすること」のリスク
一方で、退職金を理由に転職を先延ばしにするリスクもあります。
退職金先延ばしのデメリット:
- 転職市場での年齢的な有利・不利が変化する(特に30代後半〜40代)
- 現職でのストレス・不満を長期間抱え続ける精神的コスト
- 新しい職場での成長機会を逃す機会費用
- 転職先の求人状況が変わる可能性
退職金の金額が大きい場合(例:あと1年で100万円以上変わる場合)は検討に値しますが、数十万円の差のために自分のキャリアを数年止めることがベストかは冷静に判断しましょう。
退職金がない・少ない会社への転職の考え方
退職金なしは「ベンチャー・スタートアップ」に多い
近年、退職金制度を持たない会社も増えています。特にベンチャー・スタートアップ・IT系企業は「退職金なし・代わりにストックオプション」という体系や「退職金の代わりに基本給が高い」という設計になっているケースがあります。
退職金の有無だけで転職先の良し悪しを判断するのは適切ではありません。
比較すべきポイント:
- 退職金がない代わりに月給・年収が高いか
- ストックオプション・インセンティブなどの仕組みがあるか
- 確定拠出年金(DC)への会社掛金はあるか
退職金がない会社への転職で「自分で備える」方法
退職金制度がない会社に転職する場合、老後の資産形成は自分で行う意識が必要です。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):月々の掛金が所得控除の対象になり、税制面で有利な積立が可能
- NISA・積立投資:長期的な資産形成の手段として活用する
- 退職金分を「月収の中で貯蓄する」設計:退職金がない前提で毎月の貯蓄率を高める
「退職金がないから損」ではなく、「ない分を別の形で備える」発想への転換が重要です。
転職先の退職金制度を確認する方法
求人票・面接で確認すべきポイント
転職先の退職金制度は、以下の方法で確認できます。
求人票の確認:
- 「退職金制度あり」の記載があるか
- 年収欄に「退職金込み」と書かれていないか(退職金分を月給に含んでいる会社もある)
面接・内定後の確認:
- 「退職金制度はございますか」と直接確認する
- 退職金規程・就業規則の開示を求める(内定後は権利として確認できる)
確定拠出年金(DC)の「持ち運び」を確認する
現職で企業型DC(確定拠出年金)に加入している場合、転職先でも同制度があれば「ポータビリティ(資産の持ち運び)」が利用できます。転職先のDC加入状況と手続き方法を確認しましょう。
転職先にDCがない場合も、iDeCoへの移換によって個人で継続管理できます。
まとめ
- 退職金は会社が任意で定めるものであり、制度のない会社・勤続年数が短いと支給されないこともある
- 自己都合退職は会社都合退職より支給額が少なくなることが多い
- 退職金の「節目」(勤続年数による支給率の変化)を確認してタイミングを検討する価値がある
- 「退職金のために転職を先延ばしにする」ことが本当に自分にとって得かを冷静に判断する
- 退職金がない会社への転職では、iDeCo・NISA等を活用して自分で備えることが重要
- 転職先の退職金・DC制度は内定後に確認する権利がある
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白川凌雅
新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、中堅・ベンチャーの組織人事コンサルに従事。 その後、KPMGコンサルティング、他Big4にて上場企業の役員報酬策定や人材開発、PMOをリードし、年間最優秀プロジェクト賞を受賞。